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━━<与信管理メルマガの草分け>━━━━━━━━━━━━━
■ニュースで学ぶ与信管理と債権回収■ 総発行部数2,671部
━━━━━━━━━━VOL.1317(2024年5月29日号)━━━━
こんにちは。
ナレッジマネジメントジャパンの牧野です。
中小企業はコロナ禍に抱えた債務からまだまだ抜け出せないようです。
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<このメルマガの目的>
最新のニュースを題材にして、与信管理、債権回収に関する最新の手法や情報を毎週提供する。審査、与信管理、債権回収を専門としている人向けメルマガ。
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◆今週のテーマ◆
「ゼロゼロ融資の倒産予備軍は?」
中小企業庁の資料によれば、民間ゼロゼロ融資の返済状況は下記のようになっている(2024年1月末時点)。
元金返済中 53.1% 720,045件
借換 14.8% 200,596件
完済 13.9% 188,268件
据置期間中 12.9% 174,481件
条件変更(リスケ) 3.7% 50,260件
代位弁済 1.7% 22,458件
融資件数は約136万件で、金額は約23.2兆円。
今後、返済のリスクがあるのは、借換、据置期間中、リスケ組である。合計は31.4%で、425,337件。
42万件すべてを倒産予備軍と結論付けるのは早計である。真の倒産予備軍はリスケ組である。
合計が50,260件。社数は定かではないので、件数を社数と仮定する。今後、5万件が倒産するとしたら、倒産件数は4倍近くに増えることになる。実際にはあり得ない話だ。
もちろん、2023年の倒産件数は前年比で3割超増加した。2024年も同程度増加するだろう。
10年ぶりに1万件を突破するのは確実だ。それでも、5万件どころか、2万件も超えないはずだ。
一方、代位弁済の22,458件はすでに倒産と考えるのが妥当だろう。4年間で単純に平均すると、5614件で年間の倒産件数のかなりを占めることになる。
信用保証協会の代位弁済率の推移をみると、2009年度には3.24%あったものが、2023年度では1.24%であり、決して高い水準ではない(2023年4月〜2024年1月)。
コロナ前の2019年度の1.64%よりもまだ低い。しかも、ゼロゼロ融資の返済開始時期のピークは4月だった。
4月の企業倒産件数は確かに増加したが、増加率は2〜3割程度であり、爆発的に増えたわけではない。
2008年のリーマンショック後に導入された金融円滑化法で、中小企業のリスケがほぼ100%通るようになった。
倒産企業の延命措置だと批判され、2013年3月末で終了時には4月から倒産が急増すると、業界では言われ続けていた。
しかし、ふたを開けてみると、倒産は増えるどころか、減少の一途だった。直近のピークであった2008年から倒産は減少し続け、増加に転じたのは2022年である。
理由は、政府は金融機関に対して、金融円滑化法終了後も同様の対応を求めたこと、そして、日本企業の業績が回復したことなどだ。
さらには、倒産の統計にカウントされない倒産(休廃業・解散)が増えた背景もある。こちらは過去数年は4万〜5万件程度で推移しており、両者を含めた合計件数は増加の一途となる。
倒産と休廃業の違いは、債務の有無である。前者は債務があり、後者はないはずなのだが、最近は、債務が残る休廃業が多いと聞く。
今回のゼロゼロ融資についても、金融円滑化法の時と似たような状況になるだろうとみている。
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★編集後記★
先日、59歳となりました。
来年は還暦だと思うと、本当に人生は早いものです。
☆次回は6月5日発行予定です。
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