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━━<与信管理メルマガの草分け>━━━━━━━━━━━━━
■ニュースで学ぶ与信管理と債権回収■ 総発行部数2,671部
━━━━━━━━━━VOL.1237(2022年8月31日号)━━━━
こんにちは。
ナレッジマネジメントジャパンの牧野です。
法務省の司法統計によると、2021年の破産件数は2020年に引き続き減少しました。
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◆今週のテーマ◆
「減少する破産、増加する民事執行」
2021年の破産件数は下記の通り。カッコ内は前年対比。
破産件数 73,457件(94.1%)
個人 68,413件(95.2%)
法人 5,044件(80.5%)
2020年も2019年から減少していたので、減少傾向は続いている。破産件数でみる限り、直近のピークは2019年の80,202件だった。
破産件数が減少に転じた大きな理由はご存じの通りコロナである。
興味深いのは法人の強制破産が173件あること。過去5年間では160〜180件程度で推移している。
強制破産は債権回収において有効な交渉手段となり得る。特に、債務者が破産という社会的な評価を気にしている場合はなおさらだ。
倒産は裁判所が介在する法的手続きと、裁判所が介在しない私的手続きがある。さらに、法的手続きは再生型と清算型に分かれる。
再生型には大きく、会社更生や民事再生法がある。会社更生は大企業を想定しており再生の要件が厳しい。
一方、民事再生は中小企業を想定しており、要件が厳しくない。また、個人事業主や個人向けの手続きもある。
2021年の民事再生件数は下記の通り。
民事再生 110件(101%)
小規模個人再生 10,509件(87.1%)
給与所得者等再生 740件(95.2%)
民事再生はわずか破産の50分の1程度しかないことが分かる。一方、商店など個人事業向けの小規模再生は破産の2倍以上ある。こちらは債権額の上限が5000万円と定められている。
民事再生は微増だが、件数では1件の増加なので誤差の範囲と考えられる。再生手続きも全体的に減少と見てよいだろう。
60万円以下の少額訴訟については7,094件となり、前年比で10.7%減少した。2017年と比較すると、3割近くも減っていることが分かる。
一方、担保権の実行や強制執行などの民事執行件数は2021年に増加に転じた。2021年は240,541件で前年比11.4%増加した。
コロナ禍で倒産が増えた一因として、コロナ初期の裁判所の窓口の閉鎖があったが、民事執行の件数を見る限りのその傾向はない。
もちろん、民事執行の統計には債務者の法人、個人での分類はない。
破産、民事再生、少額訴訟がコロナ禍において、件数を減少し続けているのに対し、むしろ、増加傾向にある民事執行。
その違いはどこにあるのか、興味深いところだ。
政府の手厚い中小企業向けの資金繰り策により倒産は減少したが、債権回収の現場においては担保実行や強制執行がむしろ増えた。
コロナ禍が長引く日本経済において、債権者が債務者の行く末を案じての早期回収を図った。あるいは、資金繰り支援による債務者の原資増を期待して執行したとも考えられる。
単純な倒産件数は減少し続けているが、決して与信管理の手綱を緩める時期ではなさそうだ。
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★編集後記★
今日で8月も終わりですね。
今週に入り、暑さもひと段落して過ごしやすくなりました。
☆次回は9月7日発行予定です。
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