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【 海外与信管理入門 第36回 「仲裁2」】 |
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前回に引き続き、仲裁の利点を考えてみよう。
(2)1審制のため時間と費用が節約できる
日本や米国では、裁判は3審制、中国では2審制である。これに対して、
仲裁は一度しか審議をしない。
また、請求金額が20,000万円以下に適用される簡易的な仲裁手続きの場合、
原則として3カ月で仲裁判断が出される。
控訴や上訴がなく、審議期間も短いために、時間と費用が節約できるわけだ。
反面、自社に有利な仲裁判断を得るチャンスは一度しかないというリスクもある。
(3)非公開のため企業秘密を維持できる
一般に公開される裁判と違い、仲裁は基本的に非公開で行われる。このため、
ライバル企業に知られたくない営業上の秘密や知的財産権に関する紛争解決に
向いていると言われる。
この様に利点のある仲裁だが、問題となるのが、仲裁機関と仲裁地の選定である。
日本企業は、日本商事仲裁協会を仲裁機関にして東京などで行いたいと主張する。
一方、海外企業も同じように自国の仲裁機関で行いたいと主張することが多い。
これに対する妥協策としては、被告地主義を取ることである。
つまり、日本企業が米国企業を訴える場合は、アメリカ仲裁協会を仲裁機関とする。
反対に、米国企業が日本企業を訴える場合は、日本商事仲裁協会を活用することになる。
こうすれば、当事者双方が互いにメリット、デメリットを持つことになる。
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