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【 海外与信管理入門 第14回 「支払情報」 】 |
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支払情報は、英文のクレジットレポート(信用調査報告書)の最大の特徴とい
える。以前に、Trade Reference(取引照会)について解説したが、この商習
慣が支払情報の基盤となっている。
支払情報の利点を決算書と比較して考えてみよう。一つ目は、情報の更新頻度
である。
未上場企業の場合、決算書の更新は年に一度である。先進国の上場企業でも、
四半期に一度。
しかも、海外の場合、直近の決算がクレジットレポートに反映されるのに、3
〜10カ月ぐらいかかる。
つまり、クレジットレポートの掲載されている決算情報は、かなり古いといえ
る。
それに対して、支払情報は随時更新である。支払情報のデータベースは、大手
の企業情報会社の場合、毎日更新されている。
例えば今日、レポートを取得すれば12月の支払情報が掲載されている。もち
ろん、該当する情報がある場合のみだが。現在とはいわないまでも、それに近
い取引先の支払いぶりが分かるのだ。
もう一つは、信憑性である。未上場企業の場合、決算書は調査対象企業の自己
申告である。調査対象企業から提供された決算書を、企業調査会社は基本的に
その信憑性を吟味せずにそのまま掲載する。
粉飾の可能性も否定できない。それに対して、支払情報は取引先からの情報で
あるため、自社で改ざんすることができない。
したがって、真の支払い状況を反映していると考えて間違いない。こうした利
点が評価されて、近年、海外では、決算書ではなく支払情報を重視して与信判
断を下す企業が増えている。
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