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【 与信管理入門 第44回 「動産売買の先取特権」 】 |
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先取特権は法定担保権の一種で、約定担保権と違い、当事者間の合意や契約がなくても、一定の要件を満たすと当然に成立する権利である。
「動産売買の先取特権」とは、動産を売り渡した際に生じる担保権で、その動産から優先的に売買代金の弁済を受けられる(民法321条)。
こう書くと難しく聞こえるが、要は、商品を売った場合に、商品の代金を優先的に受け取る権利を売主が持っているという、商取引では当たり前の概念である。
これを法律的には、動産売買の先取特権と呼ぶ。
ポイントは、動産が第三者に転売された後でも、代金回収が済んでいない場合は、転売代金を差し押さえることができることである。
これを「動産売買の先取特権に基づく物上代位」と呼ぶ。
債務者の他の債権者が先に転売代金を差し押さえていても、債務者が破産していても優先権がある。非常に強力な権利である。
商品の転売によって、債務者が受けるべき金銭に対しても先取特権を行使できることを「物上代位」という。
ただし、転売された商品はそのままの状態でなければならない。原材料が加工されて製品になるなど、形状や品質が変化した場合は適用されない。
ナレッジマネジメントジャパン株式会社
代表取締役 / 与信管理コンサルタント
牧野和彦
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