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【 与信管理入門 第40回 「債権保全策〜担保設定」 】 |
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担保とは、担保を設定した特定の財産を債権の引き当てとするもの。債務者の特定の財産に設定することもできるし、債務者以外の第三者の特定の財産に設定することもできる。
担保は大きく、約定担保と法定担保に分かれる。当事者間の合意や契約によって成立するのが約定担保。法律上一定の要件を満たせば当然に成立するのが法定担保である。
与信管理で利用される代表的な担保といえば、不動産に対する担保であるところの抵当権、根抵当権である。
抵当権について民法では、「抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」と規定されている(民法第369条1項)。
同じ約定担保である質権と違って、目的物を占有せずに担保とすることができる点が抵当権の特徴である。
抵当権と根抵当権の違いは、特定の債権を担保するのが抵当権であるのに対して、反復継続する取引を担保するのが根抵当権である。
抵当権の場合は、特定の債権が弁済などにより消滅すれば、抵当権も抹消される。
反復継続する取引では、その都度、抵当権を登録、抹消するのは登録免許税など費用もかかるし、手続きも煩雑である。
根抵当権では、極度額と呼ばれる限度額を設定して、その金額の範囲内の取引であれば、担保されていることになる。
金融機関が企業に融資する場合、事業会社が取引先や代理店に担保を設定する場合は、ほとんど根抵当権になる。
なぜなら、こうした取引は一度限りではなく、5年、10年と続くことが予想されるからである。
一方、個人の住宅ローンを組んで、銀行から融資を受ける際に、設定されるのはほとんど抵当権である。
個人の場合は、住宅を購入するのは一生に1回ぐらいであり、返済が終了すれば資金ニーズはないからだ。
ナレッジマネジメントジャパン株式会社
代表取締役 / 与信管理コンサルタント
牧野和彦 |
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