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【 与信管理入門 第35回 「倒産時の債権者の対応」 】 |
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取引先が倒産した場合は、できるだけ早く下記の対応を取る。初動が肝心である。
現状の確認は前回取り上げたとおり、倒産の種類、そして弁護士や管財人など連絡先を把握することである。
同時に、契約残があれば配送部門に出荷停止を指示する。
出荷停止は、契約条件によっては債務不履行に問われる可能性もあるので注意を要する。
契約内容を確認する段階で、債権債務についても整理して、相殺できるものがあれば、相殺通知を内容証明郵便で送る。
また、すでに納入した自社商品で代金の支払われていないものがあれば、引き上げを検討する。
ただし、たとえ所有権を有する自社商品の引き上げであっても、取引先の占有下にあるものを勝手に持ち帰れば、窃盗罪に問われる可能性がある。
基本的には、債務者の承諾を得ることが前提となる。
さらに、商品引き上げの根拠も大切である。そのためには、倒産を知った段階で早急に債務者との契約内容を確認することが大切である。
契約に所有権留保条項があれば、これに基づき、商品引き上げの意思表示をするだけでよい。
契約の相手方に債務不履行などを想定し商品引き上げの条項が契約にあれば、これに基づき商品を引き上げることが可能になる。
あるいは、一方的に契約を解除できれば、契約解除に伴い、所有権が売主に復帰するので、所有権に基づき引き上げができる。
契約書にどれも記載がない場合は、先方に返品処理をしてもらうことである。いわゆる、赤伝票を切ってもらう。
担保を取得している場合は、倒産の種類によって対応策が変わってくる。これについては、次回以降で解説する。
ナレッジマネジメントジャパン株式会社
代表取締役 / 与信管理コンサルタント
牧野和彦
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