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与信管理入門 第29回 「手形ジャンプへの対応2」 |
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手形ジャンプに応じると判断した場合でも、そのまま、手形ジャンプを応じるのではなく、交換条件を提示することが重要である。
交換条件の基本的な考え方は、譲歩プラス債権保全である。
この場合の譲歩とは、手形ジャンプに応じることである。その代わりに、債権保全を行う、あるいは強化するという発想が大切だ。
では、どのような債権保全先策が考えられるだろうか。
まずは、担保の取得である。
不動産の抵当権、債権の譲渡担保、その他動産の譲渡担保、質権設定などが考えられる。
不動産の抵当権については、この時点で提供できる不動産を顧客が有しているのかが、最大のポイントになる。
「何か、不動産担保を提供してもらえませんか?」というような問いかけをするのは、あまり意味がない。
「いや〜、銀行さんにみんな取られてしまって。」という返答が来るのがオチである。
事前に顧客の資産調査をしておき、担保価値のある不動産の有無と所在を調べておく必要がある。
その時に役に立つのが、不動産の共同担保目録である。
これについては、以前に解説した。
共同担保目録を調べることで、こちらが認識していない顧客の所有不動産の存在が明らかになることがある。
その上で、「軽井沢にお持ちの別荘ですが、A銀行さんが一番抵当を付けていらっしゃいますが、二番抵当で結構なので、設定させていただけませんか?」と持ちかければ、相手も無碍に断ることはできない。
そこまで調べていたのかという驚きと、何としても手形をジャンプしたいという欲求が、顧客の心中で交錯して必死に前向きの回答を出そうと考えるはずだ。
ナレッジマネジメントジャパン株式会社
代表取締役 / 与信管理コンサルタント
牧野和彦
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