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与信管理入門 第27回 緊急時の対応 |
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取引先の危険な兆候を察知したら、債権保全や回収を図るべく、早急な対応を取る必要がある。
そのためには、非常時の対応を社内であらかじめ決めておく必要がある。
信用不安が起きてから、対策を練る会議を開いていたら、初動に遅れることになる。
債権回収においては、常に他の債権者との競合になる可能性がある。
他社よりも、一歩先んじることが大切なのだ。
本来ならば、自社が回収できたであろう債権を、時間を浪費したあまりに、他社に回収されてしまう可能性だって考えられる。
一般的には次のようなアクションが考えられる。
(1)取引内容の再確認(債権・債務・契約残)
(2)関連書類の確認(契約書、注文書、請求書、受領書等)
(3)担保・保証の確認
(4)経営者の連帯保証の取得
(5)出荷停止の検討
取引内容を確認するのは、相殺ができないかと知るためである。相殺は、もっとも確実かつ簡便な債権回収策の一つである。
不動産抵当権を取得していれば、まずは関連書類の存在を確認する。その上で、先順位の債権者が変更の有無や、後順位に怪しい会社が担保を設定してないかを確認する。
場合によっては、経営者の連帯保証の取得も検討する。ただし、経営者は銀行からの融資を始め、会社の債務の多くの連帯保証になっていることが多い。
また、中小企業やオーナー企業が倒産すると、経営者も同時に個人破産を申請するのが通例であり、実質的には回収できないことが多い。
兆候の危険度によっては、即座に、取引や出荷を停止する必要性が出てくる。
そのためには、契約残を確認し、出荷停止による債務不履行に問われる可能性を検証しておく必要がある。
それほど、急を要さない場合は、与信限度額の減額や支払条件の変更、現金取引への移行で対応することもできる。
ナレッジマネジメントジャパン株式会社
代表取締役 / 与信管理コンサルタント
牧野和彦 |
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