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与信管理入門 第26回 企業が倒産に至る過程2 |
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パートやアルバイトを解雇し、新規の採用を停止したり、広告宣伝費や接待交際費などの経費を削減したりしても、資金繰りが改善しない場合、取引先などへの支払を遅延し始めることになる。
仕入先には、大きくCritical SupplierとNon-critical Supplierがある。
本業に影響を及ぼす重大な仕入先がCritical Supplierで、そうでない仕入れ先がNon-critical Supplierである。
支払遅延は、まずNon-critical Supplierに対して行われる。
例えば、宅配便、弁当屋、印刷業者など、代替が容易に可能な取引先である。
本業に直結するCritical Supplierだと、事業への影響も大きいし、信用不安が巻き起こる可能性もある。
これとほぼ時を同じくして、税金や社会保険料の滞納も始まる。
なぜなら、こうした支払遅延は、信用不安に結びつかないからだ。
税務署や社会保険事務所の担当者が、あの会社は滞納があるから危ないなどとの噂を流布することはない。
決して、遅延利息が低いからではない。
税金の滞納には2か月までは7.3%、2か月を超えると14.6%の遅延利息が請求される。
あるいは、電気、ガス、水道、電話などの公共料金なども代替は可能ではないが、まず延滞されがちなのは、やはり信用不安に結びつく可能性が低いからである。
それでも、資金繰りが好転しないと、正社員のボーナスカット、給与カット、支払条件の変更や手形ジャンプの依頼がある。
そのまま業績が回復しなければ、社員の解雇、大口の取引先への支払遅延や給与遅延などが見られるようになる。
こうなると、同時に噂や信用不安も発生して、仕入先が原材料の供給にストップを掛けたり、現金での取引を求めたりすることになり、企業の死期を早めることになる。
ナレッジマネジメントジャパン株式会社
代表取締役 / 与信管理コンサルタント
牧野和彦
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