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与信管理入門 第19回 3つのキャッシュフローの関係 |
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営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローのプラス、マイナスを比較することで企業の財政状態を推測することができる。
例えば、下記のケース。なお、3つのキャッシュフローの合計がゼロになっているが、通常はプラスマイナスゼロにはならず、増減がある。
(1)優良企業
営業活動によるキャッシュフロー 50億円
投資活動によるキャッシュフロー ▲30億円
財務活動によるキャッシュフロー ▲20億円
これは典型的な優良企業のキャッシュフロー。
本業で50億円のキャッシュフローを生み出して、そこから新規投資を行い、さらに借入金の返済をしていると考えられる。
(2)急成長企業
営業活動によるキャッシュフロー 30億円
投資活動によるキャッシュフロー ▲50億円
財務活動によるキャッシュフロー 20億円
これは、急成長している企業や新興企業に見られるキャッシュフロー。
本業で30億円のキャッシュフローを生み出しているが、それを上回る新規投資を行っているのがポイント。
足りない分は、借り入れか増資によって賄っている。
(3)業績低迷企業
営業活動によるキャッシュフロー ▲30億円
投資活動によるキャッシュフロー 10億円
財務活動によるキャッシュフロー 20億円
これは、業績が低迷している企業に見られるキャッシュフロー。
本業によるキャッシュフローはマイナス30億円となり、固定資産や投資用有価証券の売却などで10億円キャッシュを作り出し、足りない分は、借り入れや増資によって賄っている。
(4)危ない企業
営業活動によるキャッシュフロー ▲30億円
投資活動によるキャッシュフロー 40億円
財務活動によるキャッシュフロー ▲10億円
これは、財政状態の極めて悪い企業に見られるキャッシュフロー。
本業によるキャッシュフローはマイナス30億円なのに、銀行からの新たな借り入れよりも返済が10億円も上回っている。
固定資産や投資用有価証券の売却などで40億円キャッシュを作り出し、穴埋めしている状態。
このように、3つのキャッシュフローのプラス、マイナスと金額を比較することで、企業の財務状態がある程度推測できる。
ナレッジマネジメントジャパン株式会社
代表取締役 / 与信管理コンサルタント
牧野和彦
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