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【 海外与信管理入門 第23回 「債務者の心理」 】 |
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債務者の心理について触れるとき、私は著名心理学者の「マズローの欲求の5段階」を
よく引き合いに出す。
人間の欲求には段階があり、低次元の欲求が満たされないと、高次元の欲求が
出現しないという説である。5段階の欲求は以下の通り。
第1段階 生理的欲求
第2段階 安全の欲求
第3段階 親和の欲求
第4段階 自我の欲求
第5段階 自己実現の欲求
「生理的欲求」とは、人間が生きてゆくために欠かすことのできない食欲、睡眠欲などの
根源的な欲求を指す。
「安全の欲求」は、安全に暮らしたい、お金や物が欲しいという欲求である。
「親和の欲求」とは、「所属の欲求」とも言われ、何かの集団に帰属していたいという
社会的生活に対する欲求を指す。
「自我の欲求」とは、自分の属する集団から評価されたいという欲求で、「承認の欲求」ともいう。
「自己実現の欲求」とは、自分に与えられた能力を最大限に発揮したい、自分を人間的に
成長させたいという最も高次元の欲求である。
この欲求の5段階は、企業や債務者にも当てはまる。会社の経営が厳しくなってくると
経営者の欲求レベルはどんどん低下し、最後は自分が何とか生きていれば良いということになる。
低い次元の欲求に甘んじている債務者からの回収は極めて難しい。今、交渉している相手の
欲求が、どのレベルにあるのかを常に意識して対応することが大切である。
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