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与信管理入門 第24回 危険な兆候4〜不良債権の発生 |
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リーマンショックのあった2008年に、上場企業が33社も倒産したことは記憶に新しい。その中で不動産と建設が25社を占めた。
そうした中で、新興のマンションデベロッパーが倒産し、工事を請け負っていた中堅のゼネコンが連鎖倒産というパターンがいくつかあった。
例えば、2008年9月シーズクリエイトが破たんし、約5億円の不良債権を抱えた井上工業が10月に破産申立をした事例がある。
また、井上工業には当時、下請け先が全国に250社、群馬県内に100社もあった。
正確なデータはないが、そのうち数十社は連鎖倒産したはずだ。
当然、下請けの場合は、連鎖倒産の可能性が高い。
しかし、下請けでなくても顧客一社に対しての売上の比率が高ければ、同じように連鎖倒産の危険がある。
一般的には20〜30%ぐらいからが依存の目安になる。
例えば、自社の売上が突然2〜3割減ったらどうなるか考えてみて欲しい。
財務体質の脆弱な会社は倒産してもおかしくない。
また、売り先だけに限らず、仕入れ先についても同じ見方ができる。
こうした事態を防ぐためには、取引先を見ているだけでは不十分である。
取引先の取引先まで見ていく意識が大切だ。
特に、信用リスクの高い大口取引先の主要取引先の動向は常に把握しておくべきだ。
そのためには、情報誌などを購読し、倒産情報と債権者リストに目を光らせることが肝要だ。
取引先が公開企業で、取引先の破たんなどで不良債権が発生する可能性がある場合は、情報開示が義務づけられている。
『日本経済新聞』などにも取り上げられるし、各企業のIRページにも情報開示される。
顧客の主要取引先の経営状態に異変がないか、複数の情報源にアンテナを立てておく必要がある。
ナレッジマネジメントジャパン株式会社
代表取締役 / 与信管理コンサルタント
牧野和彦
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