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与信管理入門 第4回 「定性情報を収集する仕組み」 |
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定性情報の重要性について前回は解説した。今回は具体的に定性情報を収集する仕組みについて取り上げよう。
最も簡単な方法は、営業日報など顧客訪問時に気がついた点を自由に書かせることである。特別な準備も不要であり、明日からでもすぐに実行できる。
しかし、残念ながらそれだけでは、何も書かない営業担当者が多いはずだ。営業担当者だって、一日中外回りをして疲れ切って帰社して、さらに営業日報の記載に多くの時間を割きたいと思っていない。
できるだけ簡単に済ませたいと思うのが普通である。もちろん、最近では、モバイル環境の発達により移動中にノートPCや携帯で報告書を完成させることもできる。
その場合には、営業担当者の心理的な壁がネックになる。「こんなことを報告していいのかな?」「こんな些細な情報は書かなくてもいいだろう」など、自分で勝手に情報の質を判断して、記載をためらってしまうのだ。
こうした問題点をクリアーにするのには、あらかじめ、取引先情報収集用のチェックリストを作成しておくのが有効である。そして、もう一つは営業担当者の啓蒙である。
社内研修などで、与信管理の大切さ、定性情報の重要性、チェックリストの各項目の意味を理解させておけば、自然と情報が集まってくるようになる。
チェックリストの一例を挙げると、
住所に実在するか?
事務所は賃貸か自社物件か?
時計は止まっていないか?
カレンダーは最新のものか?
トイレは清潔か?
電話の応対は適切か?
社内に活気はあるか?
倉庫は整理整頓されているか?
などがあげられる。
これ以外にもたくさんある。こうしたチェックリストは、営業部門と管理部門でブレストなどをして、お互いのアイディアを出し合えばすぐにできてしまう。
こうしたチェックリストの作成が、定性情報を吸い上げる仕組み作りの第一歩と言えよう。
更に、一歩推し進めてこうしたチェックリストで収集した情報をテータベース化すると、非常に強力な与信管理のツールとなる。
例えば、貸倒や回収不能になった取引先にどのような兆候が現れていたかを、後に確認できる貴重な情報源となるのだ。
ナレッジマネジメントジャパン株式会社
代表取締役 / 与信管理コンサルタント
牧野和彦
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