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与信管理入門 第3回 「与信管理の業務フロー」 |
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下記が企業における一般的な与信管理の業務フローである。
(1)潜在顧客の発見、問い合わせ、申し込み
(2)顧客の情報収集(現場、登記簿、調査レポートなど)
(3)顧客の分析(定性分析、定量分析)
(4)与信判断、決済条件、与信限度額の決定
(5)交渉、契約締結
(6)売掛管理、入金
(1)は説明不要だろう。(2)顧客の情報収集だが、最も大事なポイントは複数の情報源を持つことである。
ひとつの情報源だけでは情報など集まらないし、依存するリスクにもなる。情報源は多様なほど良い。
もちろん、手を拡げすぎれば分析が困難になるので、可能な範囲でと言うことだ。
また、情報というとすぐに外部情報ばかりを思い浮かべる人がいるが、内部情報も大切である。特に、営業担当者が顧客と接して掴む定性情報は、他のどこでも入手できない貴重な情報である。
どんなに優れた調査会社のレポートであっても、それは万人に公開された情報であり、数千円〜数万円のお金さえ出せば誰でも入手できる。
そして、誰が見ても同じ情報が記載されている。評点が55点の会社は誰がレポートを見ても55点なのだ。
しかし、営業担当者が顧客企業の現場で見る、聞く、感じる情報は、営業担当者の与信管理に関する知識、質問のスキル、経験によって大きく変わってくる。
だからこそ、営業担当者を社内研修などで育成する意義があるのだ。
例えば、取引先の社長が「これからはエコの時代だ!」と言って、ベンツのEクラスから突然、プリウスに乗り換えたとする。
与信マインドのない営業担当者は、社長も環境問題をまじめに考えているのだなと思い、報告の必要性も感じないで、この情報を自分の中だけにしておく。
与信マインドのある営業担当者なら、エコは単なる言い訳で、本当はベンツを手放さなければならない台所事情があったのかもしれない、と考えてみる。
そして、この情報を上司や管理部門に伝える。
これを受けた管理部門は、念のためこの取引先の社長の自宅の登記簿を再度入手する。
すると、一年前にはなかった後順位の抵当権が新たに設定されていることが分かった。
情報とはこういうものだ。
Aだけでは意味をなさない情報でも、BやCと組み合わせれば、立派な信用情報になる。
そのためには、営業担当者に情報を随時報告させる仕組みを作らなければならない。
ナレッジマネジメントジャパン株式会社
代表取締役 / 与信管理コンサルタント
牧野和彦
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