急速な円高もあり、今まで海外取引を行ってこなかった中小企業も、新たに貿易を始めたり、海外に進出したりするところが増えている。
今日は、初めて海外取引を行う企業が知っておくべきリスクについて考えてみよう。
(1)回収リスク
貿易では、製品のデリバリーと代金の回収には大きな時間差がある。また、物理的にも離れているため、支払に対する圧力が国内取引のそれと比べると弱い。
こうした点で、国内取引で単純に後払いを認めるのと違い、海外取引での与信管理には細心の注意を払う必要がある。
(2)為替リスク
円建て取引であれば、為替リスクを気にする必要はない。しかし、ドル建てやその他通貨での取引を行う場合は、常に為替リスクが付きまとう。
それぞれどのようなリスクがあるのだろう。
<輸出>
ドルなどの決済通貨に対して円高になるほど、バイヤーにとっての支払額は膨らむため、価格競争力が落ちる。
ドルなどの決済通貨に対して円安になるほど、バイヤーにとっての支払額は減るため、価格競争力が増す。
<輸入>
ドルなどの決済通貨に対して円高になるほど、輸入企業にとっての支払額は減るため、購買力が増す。
ドルなどの決済通貨に対して円安になるほど、輸入企業にとっての支払額は増加するため、購買力が減る。
(3)輸送リスク
貿易取引においては、製品は船便や航空便とトラックなど陸上輸送の組み合わせで、海外の取引へ送付される。
陸上輸送が中心の国内取引と違い、輸送距離、時間ともに長いため、輸送中の破損リスクが生じる。
こうしたリスクは、契約条件によりバイヤー、セラーのどちらかが貨物保険等を掛けることで、リスクヘッジされる。
契約に関するリスクについては、次回に取り上げる。
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