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 ■ニュースで学ぶ与信管理と債権回収■  総発行部数2,671部
 ━━━━━━━━━━VOL.1284(2023年9月13日号)━━━━
 
 こんにちは。
 ナレッジマネジメントジャパンの牧野です。
 
 最近、各メディアでは倒産が増えているというニュースが増えています。
 
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 ◆今週のテーマ◆
 
 「増加する破産と債権譲渡」
 
 実際の破産や民事再生、民事執行など法的手続きの推移を司法統計で見てみよう。2022年の破産件数は下記の通り。カッコ内は前年対比。
 
 破産件数 70,602件(▲3.9%)
 個人   64,982件(▲5.1%)
 法人   5,620件(11.4%)
 
 個人を含めた全体の破産件数は昨年に引き続き、減少傾向が続いている。しかし、法人の破産については、11.4%と大幅な増加に転じた。
 
 それでも、2020年の6,085件に比べればまだ少ない。
 
 興味深いのは法人の強制破産が146件あること。これは、前年の173件から比べると、15.6%と大きく減少した。
 
 過去5年間では160〜180件程度で推移していたので、2022年は少なかったと言える。
 
 強制破産は債権回収において有効な交渉手段となり得る。特に、債務者が破産という社会的な評価を気にしている場合はなおさらだ。
 
 倒産は裁判所が介在する法的手続きと、裁判所が介在しない私的手続きがある。さらに、法的手続きは再生型と清算型に分かれる。
 
 再生型には大きく、会社更生や民事再生法がある。会社更生は大企業を想定しており再生の要件が厳しい。
 
 一方、民事再生は中小企業を想定しており、要件が厳しくない。また、個人事業主や個人向けの手続きもある。
 
 2022年の民事再生件数(新規)は下記の通り。
 
 民事再生      92件(▲16.4%)
 小規模個人再生   8,982件(▲14.5%)
 給与所得者等再生  782件(5.6%)
 
 民事再生はわずか破産の1.6%しかないことが分かる。一方、商店など個人事業向けの小規模再生は破産の6割増しである。こちらは債権額の上限が5000万円と定められている。
 
 民事再生、小規模個人再生ともに、大きく減少している。
 
 60万円以下の少額訴訟については6,594件となり、前年比で7%減少した。2018年と比較すると、3割近く減っていることが分かる。
 
 一方、担保権の実行や強制執行などの民事執行件数は244,719件となり、前年比1.7%とわずかながら増加した。
 民事執行の統計には債務者の法人、個人での分類はないため、内訳は不明だ。
 
 動産譲渡、債権譲渡の登記件数の推移は下記の通り。
 
 動産譲渡 7,308件(▲1.5%)
 債権譲渡 34,515件(3.0%)
 
 動産譲渡は微減だが、債権譲渡は微増した。また、債権譲渡の件数は動産譲渡の5倍近くあり、動産譲渡の普及度の低さが分かる。
 
 これまでのデータをまとめるとこうなる。
 
 破産は増加
 民事再生は減少
 少額訴訟は減少
 民事執行は増加
 動産譲渡は減少
 債権譲渡は増加
 
 増加と減少が入り混じった結果となったが、この数値はあくまで2022年までのものである。2023年に入り、減少していた手続きも増加に転じた可能性がある。
 
 マイナス金利政策を続ける日銀だが、2%の目標を超えるインフレ、急激な円安と、日本は国内外から強い圧力を受けている。
 
 早晩、日銀が政策転換する可能性は高く、年内なのか、来年なのか気になるところだ。
 
 一般的に金利が上がると、中小企業への融資は厳しくなり、倒産は増える傾向にある。今後も、与信管理は厳しめの運営が必要とされる。
 
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 ★編集後記★
 
 先週、久し振りに大阪に出張しました。
 行きは、隣りは空席でしたが、帰りは座っていました。
 人の往来も戻ってきた感じですね。
 
 ☆次回は9月20日発行予定です。
 
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