2005年12月10日
不動産登記簿の見方(7)
同じように短期の「賃借権設定(仮登記)」も注意を要する。短期というの
は土地5年、建物3年以内のこと。
短期の賃借権を設定しておけば、後で立退き料や賃借権抹消登記料などを落
札者に請求することができる場合もあり、金融業者などが債権回収の手法と
してよく使ってきた。
「抵当権設定仮登記」と同一の債権者(権利者)による賃借権設定仮登記は
特に要注意。但し、今後の法改正により、こうした短期賃借権の権利は大幅
に限定される予定となっている。
2005年12月09日
不動産登記簿を見るポイント(6)
利息については、登記申請時の利息であるため現在も同じ利率であるとは限り
らない。
また、債権額が100万円以上で利息が年15%と登記されている場合は、実際の利率はそれ以上であると考えてよい。
<利息制限法の上限金利>
10万円未満 年20%
10万円以上~100万円未満 年18%
100万円以上 年15%
登記では利息制限法の上限でしか登記できない。
しかし、実際に債務者は、高利貸しや街金融などから「出資法」の上限である年29.2%で借り入れている可能性がある。
債権額にもよるが、これは与信管理上「要注意」のシグナルで、その取引先との売り掛けでの取引は避けた方が無難である。
2005年11月01日
不動産登記簿を見るポイント(5)
複数の抵当権や根抵当権が、同じ不動産に設定されることは良くある。それ自体が必ずしもリスクとは断定できない。
その場合の優先順位は、基本的に「順位番号」により決まる。甲区、乙区間の優先順位は「受付年日付」で決まる。
もし、取引先の所有不動産に対して、短期間で複数の抵当権が設定されている場合
は、所有者(会社)の信用が急激に悪化した可能性があるので、注意が必要だ。
2005年10月31日
不動産登記簿を見るポイント(4)
「抵当権」、「根抵当権」ともに不動産に対する担保で、当事者間の契約により成立する。「抵当権」は、ある特定の取引に伴う債権を担保する権利。
一方、「根抵当権」は、反復継続する取引から生じる債権を担保する権利で、極度額
の範囲内であれば、借入・返済の度に抵当権の設定や抹消をする必要がない。銀行が企業などに融資する際に設定するのが一般的。
記載項目は甲区と同じ。ここでも、「権利者その他の事項」が重要になる。「権利者その他の事項」には次の項目が記載される。
<抵当権>
債権額・利息・損害金・債務者の氏名と住所・抵当権者の氏名と住所
<根抵当権>
極度額・債権の範囲・債務者の氏名と住所・根抵当権者の氏名と住所
通常、抵当権者には銀行、ノンバンクやリース会社の会社名が記載されるが、あまり聞いたことのない社名が抵当権者になっている場合は、その会社も調査する必要が出てくる。
高利貸しや街金融のようなところから担保を設定されていれば、その会社の財務状態はかなり厳しいと見ることができる。
2005年10月30日
不動産登記簿を見るポイント(3)
不動産登記簿では、会社の不動産や代表者個人が所有する不動産の状況が分かる。不動産登記簿の構成は次のようになっている。
●表題部(土地や主たる建物の表示)
●甲区(所有権に関する事項)
●乙区(所有権以外の権利に関する事項)
「表題部」には次の不動産の概要が記載される。
[土地] 所在・地番・地目・地積・原因及びその日付・登記日
[建物] 所在・家屋番号・種類・構造・床面積・原因及びその日付・登記日
「甲区」には所有権に関する事項が記載される。甲区の記載事項は次のとおり。ここで重要なのは、所有者の名義と住所の確認である。
<甲区の記載事項>
順位番号・登記の目的・受付年月日、受付番号・原因・権利者その他の事項
「乙区」には、所有権以外の権利に関する事項が記載される。主に、抵当権、根抵当権、賃借権などが記載される。
2005年10月24日
不動産登記簿を見るポイント(2)
ここで注意が必要なのは、土地の「地番」や建物の「家屋番号」が実際の住居表示と異なる点である。
建物の不動産登記簿については、家屋番号が分からなくても所有者が分かっていれば、登記事項証明書を入手することはできる。
ところが、土地の不動産登記簿を調べるには、「地番」が必要となる。中には、地番と住居表示が同じ土地もあるが、ほとんどは異なっている。
何も知らずに住居表示で不動産登記簿を入手すると、実際とは全く違う場所の不動産登記簿が出てくることになる。
「地番」は通常、法務局に備え付けられてある「住居表示と地番の対照表」で
調べるか、住宅地図と公図を突き合わせて「地番」を特定する。
最近では、「地番」を端末で検索できる法務局も増えてきた。しかし残念ながら、インターネット経由で登記簿を取得する際に、住居表示から地番を検索することはできない。
一つの土地が複数の地番にまたがって存在していることも珍しくない。その場合には、該当する地番の登記簿を全て取得して確認することになるので、費用がかさむ。
2005年10月23日
不動産登記簿を見るポイント(1)
取引先の情報集の基本は、まず商業登記簿を取得する。
その上で、取引先の事務所が自社ビルであれば、その土地と建物の不動産を取得。事務所が賃貸の場合は、代表者の自宅の不動産登記簿を取得する。
ここまで全て行っても費用は3~5千円程度。これが最低限の情報収集といえる。
もちろん、自分で登記簿を取るのは面倒だというのであれば、調査会社のレポートを取得してもいい。
不動産登記簿も商業登記簿と同じようにインターネットで検索できる。不動産の登記簿謄本(抄本)、登記事項証明書の取得にかかる印紙代は、基本的に1通1,000円。インターネット経由で取得すると950円になる。
なお、不動産登記簿は土地と建物で別々に作成、保存されているため、取引先の不動産の担保価値を調べるためには、土地と建物の両方を取得する必要がある。
2005年10月12日
パクリ屋の手口(2)
少額の現金取引きで信用させておいてから、少しずつ注文単位を大きくして、
営業マンにとって、「この顧客はおいしい顧客だな」と思わせるわけだ。し
かも金払いはよいと来ている。ついつい信用してしまう。
そして営業マンの信用を得たと思ったら、大口の注文を手形決済で出す。営業成績を上げたい営業マンはこの誘惑には勝てない。
ここで会社に確固たる与信管理体制があり、登記簿や信用調査レポートで会社を審査していれば、「この会社は危ないから、手形は受け取るな」となるのだが、往々にして与信管理の甘い会社が狙われるわけだ。
営業マンを信用させるテクニックは色々とあり、会社を綺麗にし、わざわざ受
け付けも設けるのもそのため。一般的には、10人程度の会社には受付がないのが普通なのにもかかわらず。
こうして仕入れた商品は、通常バッタ屋などに横流しし、最後はディスカウン
トショップなどに売られることになる。こうしたルートも確立されている、一種の組織的な犯罪なのだ。
また、最近ではネット上のオークションなどが人気があるため、ありとあらゆる商品を転売して、換金化することが可能になっている。
「どうやって、休眠会社を買うのか?」「当座口座をどうやって作るのか?」
と疑問に思う向きもあるかもしれない。
そのために銀行を信用させる手口も無数にあるし、倒産会社の手形帳等が売買されているのが実態だ。
パクリ屋にだまされないためには次の2つのポイントが大切だ。
(1)新規取引先の商業登記簿を必ず確認すること
(2)現在の事務所で1年以上営業していない場合は、簡単に信用しないこと。
2005年10月11日
パクリ屋の手口(1)
パクリ屋とは、詐欺目的で商品を仕入れ、代金を支払わずに、商品を横流し、換金する会社や人の総称である。
昨今では、ヤフオクなどネット上の競売が盛んなため、ほぼどんな商品でも換金が可能になっており、パクリ屋の暗躍する余地が増えている。
パクリ屋の代表的な手口には次のようなものがある。
1)先方から問い合わせや注文の電話が入ってくる
2)月末が多い
3)初めは少額の現金取引で信用させる
4)徐々に注文単位が大きくなり、手形決済になる
5)事務所がやたら綺麗
6)小さな会社なのに受付がある
7)商品の色・サイズにこだわりがない
これは全ての詐欺にいえることだが、人間の心理が実によく研究されている。
受注が思うように取れない営業マンは、月末にはどんな契約でもいいから取っ
てきたいと思うのが本音。
こうした営業マンの弱い心理につけこむのがパクリ屋の手口なのだ。
2005年09月18日
登記簿の取得法
取引先の商業登記簿を取得するのは、与信管理の基本中の基本。以前は、誰かが所轄の登記所までわざわざ出向かねばならず、非常に手間と時間のかかる仕事だった。
僕が以前にいた会社では司法書士にまとめて頼んでいた。郵送での申し込みもできるのだが、時間がかかりすぎるのが難点であった。
ところが2000年9月より、インターネット経由で登記情報が取得できるようになり、情報収集が非常に楽になった。現在、日本全国で436庁の登記所がこのサービスを提供しており、順次拡大していく予定となっている。
法人も個人も事前登録が必要となっているが、最近、事前登録なしでもクレジットカードによる決済で利用できるようになり、急いでいる場合は便利になった。
登録を申請してからID・PWが郵送されるのに1~2週間かかる。登録料は、法人が740円、個人が300円、国または地方公共団体が560円。法人の場合は、最大100IDまで登録できるので、支社や支店、事業部単位でも利用できる。
利用料金は、商業・法人登記、不動産登記の全部事項請求が1件950円。登記所で取
ると1000円だから、インターネットのほうが50円もお得なのだ。
2005年09月17日
信用調査が与信管理の基本
新規取引に際しては、必ず相手の会社を調べる必要がある。取引する金額によって、
調査にかけるお金をも違いうので、いくつかの調査方法を併用すると良い。
1)インターネットで相手のホームページを調べる(無料)
2)インターネット経由で相手の会社の商業登記簿を取得する(1000円)
3)信用調査会社から信用調査レポートの簡易版を取得する(1200円~)
4)信用調査会社から信用調査レポート(フル・レポート)を取得する(15000
円~)
5)自社で取引先を分析する(無料)
下に行くほど、お金も時間もかかる。大企業になると、大手の調査会社2社から調査レポートを取得して、なおかつ社内で独自に分析をするところがほとんどである。倒産確率を用いた信用分析が、最近の与信管理のトレンドだ。
しかし、個人事業主や中小企業の経営者にはそこまで時間と費用をかける余裕
はない。その場合は、最低でも2)か3)、できれば2)と3)の両方を行うことを薦めたい。
商品やサービス、価格にもよりますが、法人取引であれば1000~2000円程度の調査費用は経費として充分かけられるはず。それでは、利益も出ないというようでは、逆に商材としてふさわしくないという、冷静な判断も経営者には必要だ。