契約に関するリスクについて論じる前に、契約自体を締結せずに海外取引を始めてしまう中小企業が実に多い。
契約書がなくても、取引が円滑に進めば、たしかに問題はない。また、契約書がなくても、注文のメールやInvoice(送り状兼請求書)などで、債権債務の存在を証明することはできる。
しかし、あらかじめ疑義が生じた場合の解決法を定めた契約書が存在する場合に比べて、疑義が生じた場合には、事態を複雑化させることは間違いない。
契約を締結する場合でも、契約の交渉においては、Battle of Form(書式の戦い)といって、先に自分の書式を提出した方が有利に交渉を進めることができる。
このことを知らずに、海外取引に不慣れであるという理由だけで、取引相手が出してくる契約書をたたき台として交渉を進める日本企業も多い。
結果的に、相手方に有利な契約内容になっていることが多い。また、海外取引の契約書は英語で交わされることが多く、言語の問題も絡んでくる。
このように、海外取引における契約には、国内取引では考えられないリスクが存在する。
また、「国際物品売買契約に関する条約(ウィーン売買条約)」についても知っておく必要がある。
正式名称は「国際物品売買契約に関する国連条約
(United Nations Convention on Contracts for the International Sale of Goods:
CISG)」
●「国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)」
これについては、以前に本メルマガで取り上げたことがあるので、下記をご参照いただきたい。
◆海外与信管理入門 第34回 「契約によるリスク管理」
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